2017年版 日本企業が犯すマーケティングの失敗トップ10

Japanese Web Marketing

日本の企業として、皆さんは海外で成長したいとお考えだろうか? 外国からの購買客やクライアントを惹きつけるには、もちろん、良いウェブマーケティング戦略を持つことが必要だ。だが、日本の多くの中小事業者は、ウェブサイトに世界からのビジターを集めることができていない。ここにご紹介するのは、昨年、多くの企業に話をさせてもらった結果、私たちが見出した、企業が繰り返し犯してしまっている失敗のトップ10だ。これらの失敗により、日本企業は毎年、数百万から数千万ドル(数十億円)の損失を負っている。しかも、ほとんどの場合、各企業はその事態に気づいていない。

では、以下に失敗トップ10の一覧を挙げよう。

第1位 ホームページが初めてのビジターを意識したものになっていない

多くの日本企業は、自社のウェブサイトを訪れるビジターが、自分たちがどんな企業なのかを既に知っている人々だ、という前提に立ったアプローチをとっている。そのため、各企業は既存の顧客を喜ばせることに焦点を当てる。だが、これは危険な落とし穴だ。自社のサイトに新しい顧客を惹きつけられなければ、どのようにして、事業の成長を期待できるというのだろうか?

その結果、日本企業は自社のホームページに、初めて来るユーザーにとっては興味のないものを詰め込んでしまう。例えば、こんなことだ。

  1. CEO からのメッセージ
  2. お知らせ
  3. 財務情報開示
  4. 社会への貢献

こうした世俗的なことは、ユーザーの気持ちを本当に重要なことからそらしてしまう。ユーザーには、自社製品はどんな人たちに向けたものなのか、そして、自分たちの会社がどんな問題を解決できるのかを伝えることだ。失敗の結果、多くの企業がファーストコンタクトを逃してしまう。これは、将来の取引に後々つながりうることなのだ。

代わりに、こんなことに焦点を当ててほしい。

  1. 自分たちの会社が何者なのか、どんなことを支持しているのか
  2. ユーザーを正しい製品ページに向かわせる
  3. ケーススタディなどのサクセスストーリー
  4. 推薦文
  5. ユーザーの連絡先を取得する

もし、あなたの会社が1つしか製品のない企業なら、自社の顧客が持つ特定の問題に焦点を当てること。もし、もっと大きな企業であれば、ユーザーを適切なカテゴリーに誘導する。そうすることで、顧客の個別の問題について語り、自社が持つ解決策を提示することができる。

第2位 ユーザーのEメールアドレスを手に入れようとしない

もし、ユーザーがあなたの企業のウェブサイトを訪れたなら、あなたはそのユーザーのEメールアドレスを手に入れるために、どんなことでもしたがるはずだ。アドレスを手に入れれば、今後、ユーザーに対してあらゆることをできるようになる。無料ダウンロードやEメールでの講座を提供したり、ウェブセミナーや対面セミナーに招待したり、自社の最新情報を投稿したりするなど。それでも、日本企業の多くはこの分野でためらいがちなところがあり、ユーザーのアドレスを入手しないことによって、こうした機会を全部逃してしまっている。よって、何かユーザーの助けになることをする見返りに、ユーザーのEメールアドレスを尋ねることをためらわないことだ。ダウンロードできるレポートなどを用意するのは、良いEメールリストを作るのに素晴らしい方法だ。

第3位 ホームページでスライドショーを使う

スライダー(別名スライドショー。メイン画面で、画像が数秒ごとに移り変わっていく)は、日本企業が製品やサービスを並べて見せるのによく使うテクニックだ。スライドショーは、社内での問題の数々を解決することができる。例えば、ホームページの一番上に表示される、「画面上の不動産」をめぐる内部チーム間での競争など。それに、誰だって、初めてウェブサイトに来るビジターには、自社のさまざまな製品を並べて見せたいものだ。

だが、それをやってはいけない。

スライドショーにはこんな問題があることを考慮してほしい。

  1. スライドショーは、ユーザーの目をあなたたちの目標から遠ざける。
  2. ユーザーにとって、ゆっくりスクロールすることは難しく、画像は目に留まらない。
  3. スライドショーはホームページの読み込みを遅くする。ウェブページの読み込みを完了させるには、すべての画像を読み込まなければならない。

第4位 マーケティングオートメーションを使わない

マーケティングオートメーション (MA) は、あなたの会社の顧客に寄り添って、商品購入に至らせるための素晴らしいツールだ。また、自社の顧客をセグメント化し、適切な相手に、適切なタイミングで、適切な割引を用意する最高のきっかけになり、既存の顧客への売上を伸ばす機会にもなる。これらはどれも、日本企業のビジネスにとっては素晴らしいチャンスだが、多くの日本の中小事業者は、そうしたことをしていない。チャンスが逃されているのだ。

第5位 高すぎる MA ソフトウェアを使っている

MA をもう使っている日本企業に向けて。その多くは、大手メーカーの高価なパッケージソフトを買っている。こうしたパッケージソフトは、年間20万円、もしくはそれ以上の費用がかかる。これは不運なことだ。いま現在、同様の機能を、Active Campaign (月額50ドル)、Drip (無料)、Mautic (オープンソース)などのサービスから手に入れられる。もし、あまりに複雑な MA テクニックを使っているのでなければ、皆さんは費用を無駄にしている可能性がある。いくらか節約して、今すぐこれらの安価なキャンペーンを始めよう。アップグレードが必要になれば、後からいつでもできるのだから。

第6位 ランディングページでの A/B テストをしていない

A/B テストは、異なるメッセージ、異なる割引、異なる背景画像などを試すための効果的なテクニックだ。どのメッセージが顧客の反響を呼ぶのか、常に A/B テストで試すべきだ。Google や Amazon といった企業は、A/B テストを通じてオンラインで成功した。近頃では、A/B テストをするのは本当に簡単で、単純な変更を開発者任せにしなければいけない日々はもう終わっている。Otimizely や Virtual Website Optimizer のような、簡単に使える最適化ツールがあるし、WordPress のシンプルなプラグインだって使える。A/B テストを実施するのは簡単なのだ。しかしながら、販売を向上させたり、リードを集めたりするためにこのテクニックを使っている日本の中小事業者はわずかなのだ。

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第7位 国際的な企業間取引 (B2B) のためにLinkedInを使っていない

もし、あなたが外国の顧客を求めているのなら、そうした顧客を探す素晴らしい方法が LinkedIn だ。第1に、欧米のホワイトカラー被雇用者のほぼ全員 (90%???) が、このサービスをかなりよく使っている。その結果、あなたの企業はターゲットに精度良く狙いを定めたキャンペーンを行うことができるのだ。例えば、自動車業界で5,000人以上の従業員を持つ企業の、最高レベルの役員たち (CEO、CTO、COO など)に広告を届けたいとしたら? わずか数クリックでそれができてしまう。今日、日本企業は LinkedIn を使うことで簡単にターゲティングができるのに、それをしていない。おそらく、LinkedIn が日本では一般的ではないからだろう…それも、今のところは、の話だが。

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第8位 Google アナリティクスを効果的に使っていない

Google アナリティクス (GA) は、あなたの企業の顧客をトラッキングし、自社企業のウェブサイト上のゴールにどう辿り着いたかを解析するのに使える、素晴らしい無料ツールだ。しかし、たくさんの GA アカウントを見てみると、2つの大きな問題に気づく。1) GA でゴール(目標)を設定していない。そのため、ユーザーのカスタマージャーニー(購入に至るまでのプロセス)を追うことができない。2) 外部リンクやキャンペーンの効果を追跡するための「utm パラメータ (カスタムキャンペーン)」を使っていない。これらのテクニックをいずれも使わないことで、日本企業は、自社の顧客の動向を追跡する機会を逃している。

アナリティクスのサポートが必要ですか? 「アナリティクス」ページをご覧ください。

第9位 埋込み型アンケートを行っていない

正しく設定していれば、GA はカスタマージャーニー内で障壁となっている部分がどこかを、うまく突き止めてくれる。しかし、GA は「なぜ」障壁になっているのかという問いには答えられない。なぜ、ユーザーが特定のページに戻ってくるのか? なぜかを推測するのはたやすい。だが、自社の実際の顧客たちが語る言葉、自社サイトのユーザーが使う表現の言い回しから、その理由を探し出してみてはどうだろうか? 1行の簡潔な質問、例えば、「今日、お客様に購入をためらわせてしまった理由は何ですか?」といったものが、高い返答率(20%)と、非常に興味深い洞察をもたらしてくれる。Hotjar、Qualaroo、Survey Monkeyなどのツールが、これに非常に向いている。

第10位 WordPress を使わない

10年前、本格的な見た目のウェブサイトを作るには、Drupal、Joomla、CQ5といった高度なコンテンツマネジメントシステムを使って、大きな技術的労力を割かなければならなかった。こうしたウェブサイトに変更を加えるのは大変で、エンジニアリングチームにそれぞれの変更を依頼する必要があった。近頃では、ほとんどの欧米企業が WordPress を使って、美しい見た目のウェブサイトを簡単に素早く作っている。高品質のテーマとコンテンツビルダーを選ぶだけで、さあ、始まりだ。さらに、WordPress は、あなたが求めるぴったりの機能を追加できる、数千ものプラグインを用意している。WordPress は、もはやブログだけのためのものではないのだ。残念ながら、日本の中小事業者の多くは、自社のウェブサイトを WordPress で作り直すことに躊躇しており、古い構造のサイトから抜け出せない。もし、複雑なことをしたいなら、Drupal 開発者を雇って、良い仕様書を書くことだ。だが、およそ 90% の企業ウェブサイトにとっては、WordPress で充分用が足りる。

お分かりいただけただろうか。以上が、失敗のトップ10だ。あなたの会社がしてしまっている失敗はどれだろうか? ぜひ、下にコメントを書き込んでほしい。

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About the Author Jeff Crawford

Jeff Crawford is a Digital Marketing expert, technologist and Manager. He has worked for technology companies in Silicon Valley such as Apple, WebTV and Microsoft. He has lived in Tokyo Japan since 2004, working for companies such as Microsoft KK and Adobe Systems Japan. Jeff is founder of Zo Digital Japan, an SEO and Digital Marketing agency based in Tokyo. Jeff started the Tokyo Digital Marketers Meetup in 2016, which now has over 2000 members. He has also presented about Digital Marketing at such events as Ad-Tech Tokyo, WordCamp Tokyo, Japan Market Expansion Competition (JMEC), and the Japan Association of Translators (JAT).

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